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            メール・マガジン

       「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第034号       ’00−03−03★

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     どうして?

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●近ごろの世俗的ニュース

 

には、不思議ともバカバカシイとも言いようの無い、常識では説明が付かない話

が多すぎますな。  いい年して、思わず「え? どうして?!」

 

と声に出してしまう。 が、私には手の届かせようも無く、ただ技法解説の材料に

出来るかな?と、傍観者的興味で観察するまで。 読者の皆さんがそんな<事件>

的状況の<当事者>でなくて済んでいらっしゃることをお祈りするのみ。

 

このご時世、たとえそれほどの<事件>に巻き込まれずとも、日常の職責を全う

するだけですら、さぞご苦労なことであろう。 その中にも「どうして?!」が

少なからずあるに違いない、とお察しする次第です。

 

 

しかしながら、「どうして? という質問、、、どうしてそうなっているのか、を

知ろうとする欲求は、きわめて基本的なもの、、」だと Rational Process の始祖

ケプナーとトレゴーの共著、(日本語版)「新・管理者の判断力」にはあります。 

 

どうもワカラン、納得できない、という現象を目の前にしたら、たしかに誰でも

そう思うもの。 思わないとしたら、それは多分、無関心か、知的好奇心の欠如

か、どこかオカシイか、、、  (実際、そんな人も近ごろは珍しくないようで)

 

*   *

 

それはともかく、そこから出発すれば、原因は突き止められるものだろうか?

答はイエスでもあり、ノーでもある、、、 なんて言うと、たちまち声あり。

オイオイ、それが答かよ? もったいぶらないで欲しいな。

 

いや、もったいを付けているわけではありません。 出来ることもあるし、

出来ないこともある、と言っているだけ。 アタリマエの話です。

 

*   *   *

 

Rational Process に限らず、技法は整備された体系ですから、一定の条件に

当てはまる事柄については、必ずそれなりの効能を発揮するものです。 が、

<問題>が降りかかって来ている時には、<条件>なんて思い浮かばない。

 

ただ、覚えた技法は使ってみたい。 で、使う。 が、たちまち行き詰まる。

多分、<使い方>か<条件>が不十分だからです。 前者は各人各様なので、

「おたすけマン」的個別方式でお手伝いするしかありません。 それに比べ

後者は、技法の理解に関わることなので、やや一般論にすることが出来ます。

 

当マガジンの趣旨は、KT法やEM法に興味を持って頂くことでもあるので、

原因の究明を可能とする<条件>と申しますと、、、てな話もあって宜しい

でしょう。 すでに受講してマスターされた方には余分かも知れませんが、

まあ、オサライだと思って、、、。

 

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●「大変だ! 何故?」

 

という声は、「そんなことになるはずが無い」の裏返しです。 暗黙的に、

「こうなるはず」というものが念頭にあってのこと。 つまり、

 

「こうであって当然」や「こうでなくてはならない」の<あるべき姿>が、

無意識的かも知れませんが、想定されていたのです。 実績か予測として、

誰もがそう信じていても良い、という<あるべき姿>が。 ところが、

 

目前の<現実>は、そうなってはいない。 <かけ離れ>ている。 その

<状態>を<問題>と定義したのでした、、、っけ、ね?

 

「原因を究明しよう」の思考パターンで立ち向かうべきは、この「普通なら

起きない<問題>が起きてしまった」場合です。 普通ならこうなるはず、

それなのに、、、という状況であること。  これが<条件>の一つ。

 

 

手がかりは、「何かが前とは変わったからだ」という目の付け方で求めます。

 

問題とされている事象に関わる一切が、もし何もかも以前の通りなら、結果

もまた以前通りでなくてはオカシイ。 だから逆に、何かが変わったからだ、

それが原因で<かけ離れ>が生じたのだ、、、と考えてみるわけです。

 

何が変わった? それを見定めるには、あらゆる角度からのヌケ・モレない

観察が必要。 キーワードは「5W1H」です。   知ってるよ、かな?

 

でもそれらが、ウロタエている時にもスルスル出ますかな? WHAT、WHERE、

WHEN、WHO、WHY、HOW、と。 WHY? WHY? と WHYばかりだったり、ね。

それでワカルなら面倒は無い。 どうもワカラナイ!で困ってるんでしょ?

 

だったら、他の疑問詞も使って、

 ・<何>が(または<誰>が)トラブルを起こしているのか?

 ・起きているトラブルは<何>なのか?

 ・それは<どこ>で、<いつ>起きているのか?

など、細かく攻めなくちゃいけないのです。  <何故?>はいわば駆動力。

 

これらの答は普通、「もう分かってる」ことばかり。 あいにく「実は、未だ、、」

なら、すぐ確かめるのみ。 すでに事件が発生した後なのですから、本気を

出せば、調べはつきます。 その場へ足を運び、現実を見据えること。

 

今までに<起きている>ことの情報は、ともかく手に入る。 集めている最中、

「あ、ワカッタ!」になることもあります。 が、それは経験やカンの世界。

<論理的に考える>には、それとは別の情報が必要です。

 

*   *

 

<別>とは、<起きている>情報の<裏>、即ち<起きていない>側の情報、

<反面情報>だから。 それが得られること、は原因究明の可能性に大きく

関わります。 即ち、これも必要な<条件>、というわけ。 そこで、

 

・同じトラブルが起きても不思議ではなかろうに、何故か、そのトラブルが

 起きていない<もの>がある(または、<人>がいる)という観点から、 

     ・それは<何>(または<誰>)か?  と調べるのです。

 同様に、

     ・そのトラブルが起きていないのは<どこ>か?

     ・そのトラブルが起きていなかったのは<いつ>か?  など。

 

よく気付く人なら、<起きている>情報を集める間、自動的に、これらにも

目を走らせているものです。 しかし、大いに個人差がありますね、これは。

 

技法は、そのバラツキを少なくするための工夫の体系、でもある。 KT法

やEM法の<分析シート>はそれです。 集めた情報を記入する用紙、では

あるが逆に、何を調べるべきかを示すチェック・リスト、と見ることも出来

ます。 それを用いれば、誰でも「気付く人」になれる、という仕組みです。

 

*   *   *

 

しかし<起きていない>側の情報は、普通、<ひとりでに>得られることは

ありません。 質問をしかける、積極的に獲得する、という<努力>が必要。 

 

で、色々な場面を思い起こしながら、粘り強く質問するのです。 たとえば、

 ・あっちの装置では、どうなんだい?

 ・(ご同役の)A君も、困っているのかな?

 ・ここで使うようになる前はどこで? そこでは?

 ・たしかM月ごろまでは、故障なんか無かったんじゃ?

 

つまり、「トラブッていないケースも、ほかにはあるんじゃないか?」の心。

 

*   *   *   *

 

起きて<いない>情報があれば、<起きている>側と突き合わせ、<いる>

側にだけある特徴的な要素事実を捜します。 するとそれらの中に何か、

<変化>が見えて来る、、、 そう言えば、こんなことがあったナ、と。

 

その<変化>自体が「原因である」場合もあり、他の何かと結びついて

「原因となる」場合もある。 いずれにせよ、それが解明の糸口です。

 

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●2種類の情報

 

の突き合わせが生むもう一つの効果は、ハヤトリチリの防止です、、、

と言うだけでは分かりにくいでしょうから、事例で。 新しくはないし、

その筋ではよく知られている話だそうですから、実名で。

 

 

昔むかし、ホンダの販売戦線にかげりが生じました。 それまで絶好調

だった<シビック>が売れ行き不振! 地域責任者たちが集まり、会議を

開きました。 果然、「なぜだ?」の論議になって、、、

 

多数を占めたのは、新開発<アコード>が売り出されたからだ、の見解。

性能は向上しているし、お客は新しいものが好き。 結局それだな、、、

つい皆、その考えになびきました。  シビック不振は当然、、?? 

 

しかし、さえぎった人がいました。 (創業者の後を受けた)河島社長。

「待て。 以前と変わりなくシビックを売り続けている営業所もあるの

ではないか?」と。 さっそく調べ直してみると、、、果たして

 

<そういう営業所>が「あった!」のですね。 「アコード新発売」が

原因なら、そこでもシビックは売れなくなっているはず、、、なのに!

 

ということは、「それ」(も影響してはいるだろうけれど)だけが原因

ではない、ということ。  簡単に決め付けてはいけませんぞ、、、と。

 

*   *

 

とかく「これだ!」と思い込み、また、人の話には「そうだ」と同調し

たくなるもの。 それでも<当たる>ことはあろうが、チェックもせず

にその方向へ走り出すのはまずかろう。 しまった、見当違いだった! 

と後悔することになる確率も低くはないからです。 

 

時間やカネの無駄遣い、くたびれもうけ、、、どれも慎むべきことです。

早まってトチるのを避けるには、行動する前に、チェックをかけるべし。

起きて<いる>と<いない>、2種類の情報のセットが、その役に立つ。

 

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●管理職はアタマで勝負。

 

原因を掴む、誰かの思いこみに歯止めをかける、、、 常に先手を取る

人でなくては。 しかし、難しいことではない。 起きて<いる>方の

情報はある。 鋭く質問して<いない>方を手に入れること。 そして、

 

ワカッタ!と舞い上がってしまわず、静かに吟味するのです。 これが

原因なら、<起きている><いない>の両者が矛盾無く一挙に成り立つ

はず、と。 その点を<何が(誰が)>、<どこで>、<いつ>など、

それぞれのセットについて、一つ一つ順々にチェックして行くのです。

 

幸い成り立てば、原因はこれ、と見て間違いではない。 1セットでも

<成り立たない>としたら、「これ」ではあり得ない、か、少なくとも

「これ」だけではない、と見て宜しい。  真偽の判別が出来るわけ。 

 

 

場の空気に流されない、踊らされない、しかも発言の根拠が的確だ、、、

こりゃ<出来る人>だぜ! そう言われるのはたいてい、こんな具合に

反面情報を生かす人なのです。

 

もちろん、あなたもその一人でいらっしゃる、と信じますが、技法で

さらに磨きをかける、少なくともチェックをかけることは決して余分

ではないでしょう。  お試しになりませんか?

                          ■竹島元一■

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